案件ごとの利益を見える化し、採算性を意識する体制へ
非公開(企業向けアウトソーシングサービス(設立1980年))
この事例のポイント
コスト上昇要因
人件費・労務費
交渉手法
データ提示型・制度活用型
活用ツール・支援機関
埼玉県伴走型支援・中小企業診断士
定量的な成果
10〜20%転嫁成功
当時の課題
- アウトソーシング業務が価格競争に陥り赤字が続く。
- 顧客別の利益管理ができておらず、どの案件から交渉すべきか不明。
取組概要
- 伴走型支援で課題整理。
- 顧客を「交渉しやすい顧客×代替しにくい業務」等4象限に分類し、交渉シナリオを準備。
- 最低賃金データや公取委の指針等を資料化し、交渉しやすい順に実施。
成果概要
- 全体として10〜20%の転嫁に成功。
副次効果
案件別の利益管理体制構築・従業員の採算意識向上
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
アウトソーシング業で、価格競争による赤字が続いており、どの顧客から価格交渉を始めるべきか判断できない経営者に読んでほしい事例です。「交渉しやすい顧客×代替しにくい業務」という4象限分類が、交渉の優先順位を明確にした事例です。
この4象限アプローチは、どの業種にも応用できる実践的なフレームワークです。「交渉しやすいか」(顧客との関係性・理解度)と「代替しにくいか」(自社の業務の独自性・切り替えコスト)という二軸で全取引先を分類することで、「まず交渉すべき先」が視覚的に明確になります。どこから始めるかを決めることが、動けない状態からの脱出口になります。
最低賃金データと公取委の指針という公的根拠を組み合わせた資料作りも、アウトソーシング業のような労働集約型サービスでは特に有効です。「人件費が上がっているから価格を上げる」という説明は取引先にとって既知の事実であることが多く、「業界でこれだけ転嫁が行われていない現状」「指針によれば転嫁が求められている」という構造的な説明が、担当者の社内説得を容易にします。
10〜20%という転嫁率は、業務によって幅があることを示しています。代替しにくい業務ほど高い転嫁率を達成できた可能性が高く、これは自社の付加価値が価格交渉力に直結することを改めて示しています。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →