サービス業・飲食 データ提示型 付加価値型 No.42
客層変化に対応し、属性別の戦略で収益性を改善
S社(洋食店運営)
この事例のポイント
コスト上昇要因
その他
交渉手法
データ提示型・付加価値型
活用ツール・支援機関
顧客属性分析・属性別メニュー戦略
定量的な成果
コース価格+18%
属性別戦略データ分析収益構造転換
当時の課題
- 生ビールや牛肉の仕入価格上昇に加え、飲酒をしない傾向の強いアジア圏観光客の増加により従来の収益モデルが崩壊。
- 価格体系の見直しが急務。
取組概要
- 価格改定に向け顧客属性の詳細な分析と市場データに基づく戦略立案を実施。
- 地元客については宴会実施率が減少しているものの一人あたりの飲食費は47%増加しているというデータを把握。
- 宴会需要減を単価アップでカバーする戦略を取りコース+飲み放題プランの価格を従来の18%増となる6,500円に変更。
- 訪日客については飲酒をしない傾向があるアジア圏の方が多くアルコール飲料で利益を確保できないことが課題。
- 「安心感(わかりやすさ)」を重要と仮説し写真やナンバリング、スマホ対応フォントを取り入れたメニューを整備。
成果概要
- 地元客の接待や紹介での利用が促進され「地元民が薦める店」というポジションを獲得。
- 山形牛を扱う専門性と訪日客の食事スタイルへの理解が評価され自治体事業などで選定される機会が増えた。
副次効果
地元客評価・自治体連携
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
飲食業で、観光客の増加や客層の変化により従来の収益モデルが機能しなくなっている経営者に、特に読んでほしい事例です。「地元客」と「訪日客」を別の顧客セグメントとして戦略を分けたことが、この事例の核心です。
多くの飲食店が「単純な値上げ」か「コスト削減」かという二択で考える中、この事業者は顧客属性データの分析から始めました。「地元客の宴会は減っているが、一人あたりの飲食費は47%増加している」というデータの発見が、コース価格を18%引き上げるという判断の根拠になりました。感覚ではなくデータから戦略を立てることで、値上げの方向性が明確になります。
訪日客への対応で「安心感(わかりやすさ)」を重要と仮説し、写真・ナンバリング・スマホ対応フォントでメニューを整備したことも注目すべき点です。顧客が価格の前に「何を頼めばいいかわからない」というストレスを感じていると、価格交渉以前の問題になります。顧客体験の質を上げることが、価格の許容度を高めます。
「地元民が薦める店」というポジションの獲得と、自治体事業での選定機会増加という成果は、価格転嫁の副次効果として見落としやすい部分です。価格を上げても顧客が来続けるということは、その店の「ブランド価値の証明」でもあります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →