サービス業・飲食 付加価値型 No.41

原価改善と価値創造で、収益基盤を強化

R社(洋食店運営)

この事例のポイント

コスト上昇要因

その他・エネルギー・光熱費・物流費・運賃

交渉手法

付加価値型

活用ツール・支援機関

限定メニュー・コラボ商品・セントラルキッチン・ミステリーショッパー

体験価値セントラルキッチン価値創造

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 調味料・加工食品・飲料・食用油など広範囲の食材価格が高騰。
  • 光熱費・配送コストも急増し従来の価格体系では健全な事業継続が困難。

取組概要

  • 主要食材の使用量を詳細に分析し仕入先・規格・食材置換といった代替案を多角的に検討。
  • 原価率のシミュレーションを実施し改善を図った。
  • 複数店舗・複数メニュー間での共通食材の活用を推進し食材ロスの削減にも取り組んだ。
  • 価格交渉においては「手作りによる本物・本質」の訴求を軸とした価値創造戦略を採用。
  • 限定メニューの導入や有名メーカーとのコラボによる商品開発、ライブキッチンや有田焼・信楽焼の使用による非日常空間の創出に注力。
  • セントラルキッチンやOEMを活用したレトルト化でコスト削減を実現。

成果概要

  • 顧客満足度の維持と収益性の大幅な改善を達成。
  • ミステリーショッパー調査の導入と自社アプリ構築により「価格以上の価値の追求」を続けた結果、顧客離れを最小限に抑制。
  • 仕入先の集約と共通食材の活用により調理・発注業務が効率化。

副次効果

顧客満足維持・業務効率化

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

飲食業で、食材・光熱費・配送コストという多方面からのコスト高騰に直面している経営者に、読んでほしい事例です。コスト削減と価値創造を同時並行で進め、「手作りによる本物・本質」を価格の正当性の根拠にした点が、この事例の特徴です。

注目すべきは、セントラルキッチンやOEMを活用したレトルト化という「製造プロセスの合理化」と、ライブキッチンや有田焼・信楽焼を使った「非日常空間の創出」が同時に進められた点です。効率化でコストを下げながら、体験価値を高めて価格訴求力を強化する——この二方向の取り組みが、値上げ後の顧客満足度維持を可能にしました。

有名メーカーとのコラボ・限定メニューの導入というプロモーション戦略も見逃せません。特別感のある商品・体験を提供することで、「価格が上がっても来たい」という理由を常に更新し続けることが、飲食業での価格転嫁には不可欠です。顧客が「また来よう」と思う理由を作り続けることが、実は価格防衛そのものです。

ミステリーショッパー調査と自社アプリの構築という仕組みも示唆的です。「価格以上の価値の追求」を言葉だけでなく、測定・改善のサイクルとして組み込んでいる企業は、価格転嫁後も顧客との関係を維持できます。価格を上げた後にこそ、「その価格に値する経験を提供できているか」を確認し続ける姿勢が重要です。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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