卸売・小売業・食品 データ提示型 No.24

市場価格の把握と多角的な根拠提示で適正価格へ

M社(麺製造販売)

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費

交渉手法

データ提示型

活用ツール・支援機関

業界特有の原価計算ツール・全国価格比較

定量的な成果

単価60%増(30→48円)

全国比較供給リスク事業継続投資

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 全国の価格水準を知り自社の低価格を客観視。
  • 学校給食への年間100万食近い供給が収益を圧迫していたため抜本的な価格改定への行動が急務。

取組概要

  • 全国市場の価格動向を把握したことを機に自社製品の価値を市場と照らし合わせて再評価する取り組みを開始。
  • 業界特有のツールを用いて詳細な原価計算を行い価格改定の客観的な根拠を準備。
  • さらに学校給食への供給回数が月1回と他府県より少ない滋賀県特有の状況を挙げ、人員確保の困難さが事業継続のリスクであることを価格上昇の理由として提示。
  • 運営実態を数値と事実で訴え行政側等との粘り強い交渉に臨んだ。

成果概要

  • 学校給食麺の単価は1食30円から48円へと向上。
  • これにより長年の課題であった収益性が大幅に改善し全従業員の賃上げを実現することができた。
  • 人材確保が容易になり社員の士気も高まった。

副次効果

全従業員賃上げ・人材確保改善

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

学校給食や公共向け食品供給業で、長年据え置かれた低単価の改定に踏み出せずにいる方に、特に読んでほしい事例です。

この事例の転機は「全国の価格水準を知ること」でした。自社の単価が市場相場と比べてどれだけ低いかを客観的なデータで把握したことが、価格改定への確信を生みました。自分が「安すぎる」と感じていても、全国比較という根拠があって初めて相手に説明できます。

30円から48円への60%増という大幅な値上げを実現できた背景には、「この価格では事業継続と品質維持が難しい」という現実を正面から伝えたことがあります。供給リスクを取引先と共有することで、単なる値上げ要求ではなく「安定供給のための投資」として理解されました。

全従業員の賃上げが実現したという結果は、価格転嫁が経営の持続性に直結することを示しています。適正価格での取引が人材確保と定着を可能にし、それがさらなる品質維持につながる。価格転嫁は経営の好循環を生む起点になり得ます。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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