建設業・左官工事 データ提示型 付加価値型 No.82

専門技術力を訴求し建設資材高騰下で工事単価を適正化

K社(左官工事業(栃木県・従業員24名))

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費・エネルギー・光熱費

交渉手法

データ提示型・付加価値型

活用ツール・支援機関

栃木県工業振興課

技術力訴求/原価根拠提示/代替困難性

出典より

栃木県価格転嫁好事例集 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 建設資材の価格高騰に対し工事単価が据え置き。
  • 左官という専門技術の価値が価格に反映されていなかった。

取組概要

  • 資材価格の変動データを根拠に発注元と交渉。
  • 左官の専門技術力の高さを付加価値として訴求し、他社では代替困難な技術を強調。

成果概要

  • 工事単価の適正化を実現。

副次効果

専門技術の評価向上

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

左官工事業で、建設資材の高騰により工事単価の据え置きが続いており、専門技術の価値が価格に反映されていないと感じている経営者に読んでほしい事例です。「左官という専門技術の価値を付加価値として訴求した」ことが、工事単価の適正化につながりました。

左官は機械では代替できない、職人の技術と経験が直接成果に現れる仕事です。この「代替困難性」こそが、価格交渉の最大の根拠になります。しかし多くの場合、この価値は発注者側が当然のものとして扱い、価格に反映されていません。「うちにしかできない」という技術的優位性を、取引先が理解できる言葉で伝えることが、価格訴求の核心です。

資材価格の変動データを根拠に使った点も重要です。専門技術の価値訴求と、客観的なコスト上昇データの組み合わせが、交渉の説得力を高めます。「技術が高い(付加価値型)」と「コストが上がった(データ提示型)」という二つの根拠を重ねることで、発注者が反論しにくい状況を作ります。

左官業のような職人技術を基盤とする事業では、廃業・人手不足による技術の消滅が社会的な問題になっています。「この技術を維持するために必要な価格」という観点を、発注者にも理解してもらうことが、業界全体の持続可能性につながります。一社の価格交渉が、業界の未来を守る行為でもあります。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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