建設業・電気設備工事 データ提示型 付加価値型 No.30
透明性の高い根拠提示と品質差別化で適正価格へ
非公開(電気設備工事)
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費・物流費・運賃
交渉手法
データ提示型・付加価値型
活用ツール・支援機関
メーカー値上げ通達の直接提示・品質差別化
透明性メーカー通達開示品質差別化
当時の課題
- 原材料費と物流費の高騰に加えメーカーからの値上げにより収益が悪化。
- 電気設備工事事業として適正価格での取引と従業員の処遇改善を両立させることが必要。
取組概要
- 引き合い段階での取引条件確認を徹底し、原材料費や労務費のデータを収集して詳細な原価計算を実施。
- 業界全体の価格改定動向や取引先各社の業界情報を詳細に分析し交渉の優先順位を戦略的に検討して準備を整えた。
- 情報の透明性を最優先にしメーカーから送付された値上げ通達資料そのものを必要に応じてお客様に直接提示。
- 他社との品質管理や安全管理面での比較データを提示し独自の強みを明確化して差別化を追求。
成果概要
- 客観的根拠に基づく誠実な交渉は当社の信頼性向上にもつながった。
- 仕入先メーカーとの価格再交渉も並行して実施し、供給網の受発注の両方向でバランスの取れた価格調整を推進。
副次効果
信頼性向上・供給網バランス調整
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
電気設備工事業で原材料費とメーカー値上げの影響を受け、元請けへの価格転嫁に苦戦している方に、読んでほしい事例です。
この事例の特徴は、メーカーからの正式な値上げ通達を交渉材料として活用したことです。自社の主張ではなく「メーカーが公式に通知した価格改定」を根拠として示すことで、交渉の客観性を確保しました。価格改定を「自社の都合」ではなく「業界全体の動き」として位置づけることが、交渉の文脈を変えます。
誠実な交渉が信頼性向上につながったという成果は、価格改定が関係強化の機会にもなり得ることを示しています。丁寧な説明と透明な根拠提示が「この会社と取引したい」という評価を生みました。
仕入先メーカーとの価格再交渉を並行させた点も重要です。顧客への転嫁と同時に、仕入コストの削減も試みることで、利益改善の効果を重ねています。価格転嫁は顧客向けの交渉だけでなく、サプライヤー向けの交渉とセットで取り組むことで成果が最大化されます。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →