建設業・建築資材加工 データ提示型 制度活用型 No.77
支援機関と連携し価格交渉で経営安定化
非公開(建築資材の加工業(設立2000年))
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費・人件費・労務費
交渉手法
データ提示型・制度活用型
活用ツール・支援機関
埼玉県伴走型支援・中小企業診断士
定量的な成果
鋼材54.2%UP対応、作業単価値上げ成功
伴走型支援/アクションプラン/作業単価改定
当時の課題
- 鋼材価格が2022年1月比で1.4倍に高騰。
- 長い付き合いの顧客には低単価で作業を請け負い続けていた。
- 労務費も見積に反映できず。
取組概要
- 埼玉県の伴走型支援でアクションプランを策定。
- 売上の90%超を占める取引先8社のうち作業単価の低い4社に対し、価格交渉支援ツールで原価データを準備して交渉。
- 建築資材価格・作業単価・外注率の3つの論点で専門家と議論。
成果概要
- 作業単価の適切な値上げに成功。
- 取引の見直しも実施。
副次効果
外注先への見積精度向上・支援機関との継続連携体制構築
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
建設業(建築資材加工)で、長期の付き合いがある顧客への低単価での受注が続いており、鋼材価格の高騰に追いついていない経営者に読んでほしい事例です。「長い付き合い」という関係性は、適正価格への改定を妨げる心理的障壁にもなりえます。
この事例の最も重要な示唆は、「売上の90%を占める8社のうち、作業単価の低い4社を優先交渉対象に選んだ」という絞り込みの精度です。全取引先に一斉交渉するのではなく、影響度(売上への貢献度)と改善余地(単価の低さ)を組み合わせて優先順位を設定しました。交渉先の選択が、成果の大きさを左右します。
「建築資材価格・作業単価・外注率の3つの論点で専門家と議論した」という準備プロセスも特徴的です。価格交渉の論点を事前に整理し、取引先からどんな反論が来ても答えられる体制を作ることが、交渉本番での対応力につながります。想定問答を準備することは、交渉の場での心理的余裕を生みます。
労務費を見積もりに反映できていなかったという課題も、多くの建設関連の中小企業に共通する問題です。材料費は変動が可視化されやすいですが、労務費の見積もりへの反映は「業界慣行」として見落とされがちです。この見落としを是正することが、持続可能な事業継続の前提になります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →