製造業・化学・機械・加工紙 データ提示型 制度活用型 No.6

公的ツールの活用と撤退ラインの設定で収益性改善

非公開(段ボール製造)

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費・エネルギー・光熱費

交渉手法

データ提示型・制度活用型

活用ツール・支援機関

県の価格交渉支援ツール・撤退ライン設定

定量的な成果

原紙分100%転嫁

公的ツール撤退ライン冷静な交渉

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 原紙価格や燃料費の高騰が収益を圧迫。
  • 取引関係を優先し価格転嫁が停滞していたが、安定供給体制を維持するため客観的根拠に基づく価格改定が不可欠な状況。

取組概要

  • 原紙価格や燃料費、物流費の上昇要因を取引先に明確に示すため、コスト上昇の内訳を詳細に数値化。
  • 県が提供する「価格交渉支援ツール」を積極的に活用し、公的な支援ツールで客観性の高い交渉根拠を整え取引継続を前提とした説明を尽くした。
  • 自社の撤退ラインを設定して最大限の値上げ額から交渉を開始し、協議が不調になった場合の代替案も用意。

成果概要

  • 原紙価格の値上げ分については100%の価格転嫁を実現。
  • その他のコスト上昇分についてもほぼ了承を得られた。
  • 撤退ラインを明確にしたことで経営判断の迅速化、不採算取引の是正につながり全体の利益率が向上。

副次効果

経営判断迅速化・不採算取引是正

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

製造業で原材料価格の高騰を取引先に説明しても「業界全体の話でしょう」と個別対応を避けられ、交渉が進まない方に、読んでほしい事例です。

この事例の特徴は、県が提供する価格交渉支援ツールを積極的に活用したことです。自社だけの要望ではなく、公的な支援ツールを通じて「業界・行政が認める課題」として価格転嫁の正当性を示した。個社の要求ではなく客観的な枠組みの中で交渉することで、相手が受け入れやすい文脈を作りました。

原紙価格上昇分について100%の転嫁を実現した背景には、撤退ラインを明確にしていたことがあります。「ここまでは対応する、ここからは対応できない」という境界を自分の中で持つことが、交渉を感情的にさせない。撤退ラインは弱さではなく、交渉の軸です。

価格転嫁交渉に行き詰まったとき、公的支援ツールや業界指針は「外部の権威」として活用できます。自社の主張を補強するのではなく、自社の主張を社会的な文脈に位置づけることが、交渉を前進させる力になります。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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