製造業・金属・非鉄金属 データ提示型 関係構築型 No.2
データ収集と丁寧な説明で価格転嫁を実現
非公開(精密板金)
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費・エネルギー・光熱費・物流費・運賃・人件費・労務費
交渉手法
データ提示型・関係構築型
活用ツール・支援機関
SNS・同業他社連携
定量的な成果
約20%値上げ成功
SNS活用市場客観性説得力
当時の課題
- 原材料である鋼材価格の異常な上昇に加え、エネルギー価格・物流費・人件費の複合的なコスト増で収益性が悪化。
- 社員のモチベーション低下が懸念された。
取組概要
- 原材料費や労務費の詳細なデータ収集からスタート。
- 材料業者や処理業者の協力を得て原材料の値上がり率を正確に取得し価格見直しに反映。
- 当初の価格と現在の価格を比較できる資料を作成。
- SNSを活用して情報発信するとともに同業他社と意見交換を行い客観的な根拠を強化。
- 納期と品質の充実を約束しコスト上昇への理解を得た。
成果概要
- ある取引先との間で約20%のコストアップをまかなえる値上げに成功し、売上の増加と利益率の大幅な改善を実現。
- 収益改善により従業員への賃上げを実施。
副次効果
従業員への賃上げ・モチベーション向上
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
製造業で鋼材・エネルギー・物流・人件費と複数のコストが同時に上昇し、どこから手をつければいいかわからない方に、特に読んでほしい事例です。
この事例の特徴は、複合的なコスト上昇を「複合的なまま」数字で示したことです。材料業者・処理業者から値上がり率を正確に取得し、当初と現在の価格を並べて比較できる資料を作成した。相手に「なぜ上がっているのか」を説明する前に、自分が正確に把握していることが前提になります。
約20%の値上げ成功という成果も重要ですが、収益改善によって従業員への賃上げを実現できたという点が見逃せません。価格転嫁は経営者のための交渉ではなく、従業員の生活を守るための手段でもある。この認識が、交渉に臨む姿勢を変えます。
複合コスト上昇への対応では、「全部まとめて上げる」のではなく、要因ごとに分解して積み上げを示すことが説得力を生みます。相手にとっても「なぜこの金額か」が理解しやすくなり、交渉の合意形成が早まります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →