第三者支援による準備と、時期の見極めが交渉の鍵
非公開(機械設計)
この事例のポイント
コスト上昇要因
その他
交渉手法
データ提示型・制度活用型
活用ツール・支援機関
よろず支援拠点・伴走支援・5年分実単価分析
定量的な成果
約12%単価アップ/1ヶ月で調整完了
当時の課題
- 金型設計の単価が十数年にわたって上がらない状況が続いていた。
- さらに商社経由の取引は窓口をどう開いて交渉を進めるかが大きな課題。
取組概要
- 転機となったのは県の「よろず支援拠点」が共催した価格転嫁セミナーへの参加。
- 月1回のペースで伴走支援を受け過去5年分の実単価を調査して会社の損益分岐点と比較分析を行った。
- 設計の難易度が高まっている実態や最新の賃上げ率を上乗せした交渉資料を作成しベテラン設計者が担当しても採算が取れない状況を数字で明確化。
- 交渉前には現場担当者に事前に資料を提示して合意形成を図った上で調達部門との交渉に臨んだ。
成果概要
- 主力の設計業務を含む主要3業務全てで価格転嫁が認められ約12%の単価アップが実現。
- 交渉は本社への1回の訪問で完了し約1ヶ月という短期間で調整ができた。
- 創業50周年という節目を迎え今後は昇給による社員への還元や企業価値の向上にも力を入れていく予定。
副次効果
社員還元・企業価値向上
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
金型設計・機械設計業で、十数年にわたって単価が据え置かれている状況に直面している経営者に、特に読んでほしい事例です。商社経由の多重取引構造という交渉しにくい状況で、準備と段取りを徹底することで、1回の訪問・1ヶ月という短期間で12%の単価アップを実現しました。
この事例の最も重要な教訓は、「現場担当者への事前説明と合意形成」という手順です。調達部門との正式交渉の前に、日頃から付き合いのある現場担当者に資料を提示して理解を得ておく——この下準備が、交渉本番での心理的障壁を取り除きました。交渉相手は「決裁者」だけではなく、現場担当者も含めた「理解者の輪」を広げることが、スムーズな合意につながります。
「よろず支援拠点」への月1回の伴走支援参加と、過去5年分の実単価調査という徹底した準備も見習うべき点です。「どこかで値上げを相談したい」と感じながら行動に移せない経営者は多いですが、第三者支援機関を活用することで「専門家と一緒に準備した資料」という客観性が生まれます。この客観性が、感情論でなく数字で語る交渉を可能にします。
「ベテラン設計者が担当しても採算が取れない状況を数字で明確化した」という点は、設計業務の価格転嫁における普遍的な訴求ポイントです。品質を維持するために必要なコストを「見える化」することが、発注側の理解を引き出す最短経路です。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →