専門・技術サービス業・清掃・施設管理他 データ提示型 制度活用型 No.51
データ分析に基づく適正価格実現と組織力の強化
非公開(清掃・施設管理他)
この事例のポイント
コスト上昇要因
人件費・労務費・その他
交渉手法
データ提示型・制度活用型
活用ツール・支援機関
国土交通省積算基準・品質管理強化
公的指標積算基準客観的交渉
当時の課題
- 人件費や外注費の高騰により収益性が悪化。
- 建物管理サービスにおいて最低賃金の上昇に見合った適正価格への転嫁と経営戦略の転換を両立させることが急務。
取組概要
- 原材料費や労務費に関する詳細なデータを収集・分析し原価計算を実施して自社製品の単価を再計算。
- これによりコスト上昇分を明確に数値化し客観的な価格改定の根拠を整備。
- 取引先の経営状況や業界動向についてデータを集め自社の付加価値・差別化要素を見直した。
- 地域企業や同業他社との意見交換、発注元からの情報提供を活用し国土交通省の積算基準も参照。
- 製品単価表や労務費単価表を新規作成し自社サービスの品質管理強化と顧客評価の向上による付加価値創出に取り組んだ。
成果概要
- 最低賃金の上昇と外注コストの上昇に対応した価格転嫁を実現でき利益率の適正化と従業員の賃上げ原資確保も達成できた。
副次効果
賃上げ原資確保・組織力強化
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
清掃・施設管理業で、最低賃金の上昇と外注費の高騰という二重コスト増に直面している経営者に、読んでほしい事例です。国土交通省の積算基準という公的な根拠を活用することで、感情論を排した客観的な価格交渉を実現しました。
清掃・施設管理業は、労働集約型で価格競争が激しく、最低賃金が上がっても「それを価格に転嫁できない」という構造的な問題を抱えやすい業種です。この事例では、最低賃金の上昇という「社会的事実」と、国土交通省の積算基準という「公的根拠」を組み合わせることで、個社の事情ではなく「社会全体の構造変化への対応」として価格改定を位置付けました。
発注元からの情報提供を積極的に活用した点も重要です。取引先との関係を「価格交渉の相手」としてだけでなく、「市場情報の共有パートナー」として捉えることで、業界動向の把握と価格設定の精度が高まります。情報を双方向で共有できる関係性が、円滑な価格改定の土台になります。
「利益率の適正化と従業員の賃上げ原資確保を達成できた」という成果の背景には、コスト上昇分を明確に数値化した原価計算の徹底があります。「いくらコストが上がったか」を証明できる事業者だけが、「いくら価格を上げる必要があるか」を正当に要求できます。清掃業のような労働集約型サービスこそ、原価計算の精度が交渉力を左右します。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →