サービス業・飲食 付加価値型 関係構築型 No.44
熱量ある交渉と効率化で、収益改善と認知度向上
Y社(ラーメン店運営)
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費
交渉手法
付加価値型・関係構築型
活用ツール・支援機関
サイズダウン・製品見直し・熱量ある交渉
定量的な成果
利益+2〜3%
適量化段階的移行健康志向対応
当時の課題
- 物価高騰によりラーメン全体の原価率が44%も上昇。
- 特に主原料の小麦価格が92%も高騰し収益減少の危機に直面。
取組概要
- 極端な値上げを避けるためまず自社製造の製品・商品の抜本的な見直しを実施。
- 食生活が飽食から健康志向へとシフトしている時代の変化を再認識し顧客ニーズに合わせて食品ロスを減らすための「小サイズ」や「少なめ」といったサイズダウンを導入。
- 仕入先や使用製品の変更を模索し創業初期から付き合いのある業者さんと密に連携しつつ新規取引先との交渉も粘り強く行い仕入れの最適化を図った。
- 「ともにこの苦境を乗り切りたい」という思いを誠実に訴え取引先の理解と協力を得た。
成果概要
- 従業員の意識を「利益ベースで売上を見る思考」へと変化させる大きな転換点となった。
- 原価率の精密な算出を行い2〜3%の利益増を実現。
- 新たな販路拡大によりメディアなどの露出も増え会社認知度の向上にもつながった。
副次効果
意識改革・認知度向上
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
ラーメン店など麺類飲食業で、小麦価格の急騰という直接的なコスト圧力に直面している経営者に読んでほしい事例です。「極端な値上げを避けるため、まず自社製造の見直しから始めた」というアプローチが、この事例の基本姿勢です。
原価率が44%上昇、主原料の小麦が92%高騰という数字は、経営者を焦りに駆る状況です。しかしこの事業者は、いきなり価格を上げるのではなく、まず「食生活が飽食から健康志向へシフトしている」という時代の変化を分析し、顧客ニーズに合わせた「小サイズ・少なめ」という新たなサイズ設計を導入しました。値上げと同時に、「小さく食べたい」という需要への対応が、顧客の体験価値を高めました。
仕入先との交渉における「ともにこの苦境を乗り切りたい」という誠実な姿勢も、特筆すべき点です。この言葉は単なる感情論ではなく、創業初期からの取引先との信頼関係という実績に裏打ちされています。長年の関係性が交渉の場での「信用資産」として機能し、仕入先の理解と協力を引き出しました。
最も印象的な成果は、従業員の意識が「利益ベースで売上を見る思考」へと変わったことです。危機がなければ生まれなかった組織的な意識変革が、2〜3%の利益増とメディア露出増加につながりました。コスト危機は、経営の基盤を問い直す機会でもあります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →