運輸業・貨物輸送等 データ提示型 付加価値型 No.36
根拠に基づく交渉とシステム導入で信用度向上
非公開(貨物輸送等)
この事例のポイント
コスト上昇要因
その他
交渉手法
データ提示型・付加価値型
活用ツール・支援機関
配車・会計システム導入
システム導入信用度向上パートナー拡大
当時の課題
- 各種コスト高騰により収益性が悪化し設備・システムへの新たな投資や初期コストなどの返済が困難に。
- 従業員のモチベーション低下も生じ経営戦略の転換が必要。
取組概要
- 引き合い段階での取引条件確認を徹底し原価計算と自社製品の単価計算を実施。
- 見積書の形式を見直し取引先の経営状況や業界動向についてもデータを収集。
- 自社の付加価値・差別化要素を見直した。
- 交渉にあたっては客観的な根拠を揃えて説明資料を作成。
- さらに配車システムと会計システムを導入し企業の信用度向上に努めるとともに事業領域拡大や新市場開拓にも取り組んだ。
成果概要
- 客観的な根拠に基づいた交渉とシステム導入による信用度向上により価格転嫁を実現。
- 売上増加・利益改善・従業員賃上げを達成し事業拡大に向けた投資も可能に。
- 新規販路・顧客の拡大により事業基盤が強化されパートナー企業が増加し協力体制の拡充も実現。
副次効果
信用度向上・パートナー企業増加
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
運輸業で、コスト高騰による設備投資の返済困難と従業員のモチベーション低下という二重の課題を抱えている経営者に、読んでほしい事例です。価格交渉と同時に「企業の信用度向上」に取り組んだことが、長期的な価格転嫁力の底上げにつながりました。
この事例のユニークな点は、配車システムと会計システムの導入を「価格交渉の補完手段」として活用したことです。多くの経営者はシステム導入をコスト削減ツールとして捉えますが、この事業者は「客観的なデータを提示できる仕組みの整備」と「企業としての信用度向上」という観点でシステムを位置付けました。数字で語れる体制を整えることが、価格交渉の説得力を高めます。
引き合い段階での取引条件確認を徹底したという記述も重要です。新規取引を始める時点で「この条件では引き受けられない」と明示できる体制を整えることは、既存取引先との価格交渉と同様に重要な「価格転嫁力」の一つです。後から値上げを求めるより、最初から適正価格で受ける方が、両者にとって健全な取引関係を築けます。
パートナー企業の増加という副次的な成果も見逃せません。信用度の高い事業者には、協力体制を求める事業者が集まります。価格転嫁に成功した企業は、新たなビジネスネットワークへの入口も開くのです。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →