運輸業・総合物流 データ提示型 付加価値型 No.35

環境経営と価格交渉で従業員処遇と収益を改善

非公開(総合物流)

この事例のポイント

コスト上昇要因

エネルギー・光熱費・人件費・労務費・為替・円安

交渉手法

データ提示型・付加価値型

活用ツール・支援機関

EVトラック・モーダルシフト・カーボンニュートラル

環境経営グリーン物流脱炭素対価

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 原油価格・人件費の高騰や為替変動により収益性が悪化し従業員のモチベーション低下が生じていた。
  • 適正価格での収益確保と従業員処遇の改善の両立が課題。

取組概要

  • 原材料費や労務費のデータを詳細に収集し原価計算を実施して客観的根拠を整備。
  • 業界の価格改定動向と取引先の業界・業種情報を収集し価格交渉順を検討した上で書面での正式な交渉申し入れ。
  • 交渉にあたっては説得力のある資料作成を心がけ「安定した物流を維持する」という当社の価値を訴えた。
  • 環境経営の観点からEVトラック導入・モーダルシフト設計・カーボンニュートラル参加という付加価値をアピール。
  • 事業領域拡大や新市場開拓にも取り組んだ。

成果概要

  • データに基づいた交渉と環境経営へのアピールが価格交渉成功のポイント。
  • 売上増加・利益改善・従業員賃上げ・事業拡大に向けた投資を実現。
  • 新規販路・顧客の拡大により事業基盤が強化された。

副次効果

賃上げ・事業拡大投資・事業基盤強化

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

運輸・物流業で、原油高・人件費上昇・為替変動という三重苦に直面している経営者に読んでほしい事例です。環境経営という一見コスト増に見える取り組みを、価格転嫁の「差別化根拠」に転換した点が、この事例の最大の特徴です。

EVトラックの導入、モーダルシフト設計、カーボンニュートラルへの参加——これらは単なるSDGsへの対応ではありませんでした。荷主に対して「安定した物流を維持する」という自社の価値を訴える際に、環境への具体的な投資が「信頼できる事業者」としての証明になったのです。価格交渉の文脈で語られることの少ない「環境経営」が、実は強力な交渉カードになり得ます。

注目すべき点は、価格転嫁の成果が従業員賃上げへと直結したことです。収益改善→賃上げ→モチベーション向上という好循環が生まれ、人材の定着と採用力の強化にもつながりました。価格転嫁を「外向きの交渉」として捉えるだけでなく、「内向きの組織強化」として位置付けることが、持続的な経営改善につながります。

書面での正式な交渉申し入れを行い、価格交渉順を事前に検討した上で進めた点も見習うべきプロセスです。感情的にならず、計画的に進める姿勢が、取引先との関係を保ちながらの転嫁を可能にしました。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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