卸売・小売業・資材 データ提示型 関係構築型 No.25
メーカー同行と粘り強い交渉で信頼維持と利益率向上
U社(インテリア・農業資材販売)
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費
交渉手法
データ提示型・関係構築型
活用ツール・支援機関
メーカー同行訪問
定量的な成果
粗利率上昇/離職ゼロ
メーカー同行柔軟な姿勢三方よし
当時の課題
- 原材料費の高騰、メーカーからの値上げ通知により、各取引先との丁寧な価格交渉を通じた適正な価格転嫁が不可欠となっていた。
取組概要
- メーカー担当者との連携を密にし顧客への同行訪問を実施。
- 有力顧客に対してはメーカー担当者が直接訪問し協力を仰ぐケースも。
- 交渉にあたっては見積書を提示して価格協議を行い転嫁時期についても丁寧に交渉を重ねた。
- コスト上昇の背景を客観的なデータで示すなど文書と口頭の両面で根拠ある説明を徹底し、顧客の状況に応じた柔軟な対応を実施。
成果概要
- 直近期の粗利率は小幅ではあるが上昇。
- 同時に実施した社内表彰制度は営業担当のモチベーションアップにつながり、ここ数年離職ゼロという安定した組織運営が続いている。
副次効果
営業モチベーション向上・組織安定
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
資材・部材の卸売業で、メーカーからの値上げを取引先に転嫁する際、自社だけではなくメーカーと協力した交渉体制を作りたい方に、読んでほしい事例です。
この事例の特徴は、メーカー担当者との連携による同行訪問という体制を作ったことです。卸売業者の主張ではなく「メーカーと卸売業者が一緒に説明しに来た」という状況が、取引先に値上げの必然性を伝える力を持ちます。三者で話すことで、価格の根拠が客観的になりました。
粗利率上昇と離職ゼロという組み合わせが示すのは、価格転嫁が経営の質を改善した事実です。社内表彰制度という取り組みが営業担当のモチベーションを上げ、離職を防いだ。価格交渉の成功が組織に自信を与え、人の定着に結びついています。
卸売業における価格転嫁は、川上(メーカー)と川下(顧客)の両方との関係構築が鍵です。一方向的な転嫁要求ではなく、サプライチェーン全体で適正価格を作るという発想が、交渉を「みんなが納得できる着地点」に向かわせます。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →