卸売・小売業・食品 付加価値型 No.20

人時生産性とブランド価値の向上で単価176%アップ

S社(菓子製造販売)

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費

交渉手法

付加価値型

活用ツール・支援機関

ブランドストーリー・人時生産性向上

定量的な成果

単価176%アップ(780→1,380円)

生産性向上ブランド再構築176%単価アップ

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 原材料費の著しい高騰に直面し、主力商品の原料費が172%の急騰。
  • 企業努力のみではコスト増を吸収できず、企業存続のため製品価値に見合った価格改定が不可欠。

取組概要

  • 自社努力として人時生産性の向上に着手し人件費率を約17%から約10%へ低減させた。
  • その上で高付加価値を訴求する戦略を採用。
  • 顧客の声から見出した「国産商品」や「生産性向上への取り組み」といった強みをベースとしたブランドストーリーを再構築し商品の付加価値を高めた。
  • 緻密な原価計算をもとに必要利益と付加価値を価格に反映させる交渉を推進。

成果概要

  • 主力商品である「ポテトアップルパイ」の価格は780円から1,380円へと向上し、収益性が大幅に向上。
  • 自社の姿勢に共感してくださる新規顧客層の獲得と従業員の士気向上にもつながった。

副次効果

新規顧客獲得・従業員士気向上

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

菓子製造販売業で主力商品の原材料費が急騰し、品質を下げずに価格を上げる方法を探している方に、特に読んでほしい事例です。

この事例の順序が重要です。まず人時生産性の向上で人件費率を17%から10%に下げ、自社努力で吸収できる余地を作った上で価格改定に踏み出しました。「価格を上げる前に自分たちでできることをやった」という姿勢が、値上げの正当性を内外に示しています。

780円から1,380円という176%の単価上昇は、「高付加価値」という方向性を徹底した結果です。国産素材・生産地限定という具体的な差別化軸が、価格の根拠になっています。漠然とした品質向上ではなく、顧客が理解できる「なぜ高いのか」の説明が価格改定を支えます。

価格を上げたことで自社の姿勢に共感する新規顧客層が獲得できたという点は重要です。値上げによって顧客が減るという恐怖は自然ですが、価格と価値が一致しているとき、適正価格を評価できる顧客が集まります。客層の質が変わることで、次の値上げもしやすくなる好循環が生まれます。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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