製造業・組立加工 データ提示型 制度活用型 No.97

客観的データの提示で燃料費・光熱費15%増の改善要望を実現

A社(製造業(組立加工))

この事例のポイント

コスト上昇要因

エネルギー・光熱費・人件費・労務費・物流費・運賃

交渉手法

データ提示型・制度活用型

活用ツール・支援機関

福島県よろず支援拠点

定量的な成果

15%要望→5%改善で黒字化

客観データ/損益分岐点/定期交渉要望

出典より

福島県 価格転嫁の成功事例 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 取引価格の低迷(コロナ影響)と運搬費・光熱費の高騰で直近2期赤字。
  • 債務超過状態。
  • 原価計算や在庫管理があいまいで利益把握ができず。

取組概要

  • 内部の課題を整理し原価の把握と損益分岐点を設定。
  • 燃料費や消費電力価格の高騰と労務費の上昇に係るデータを根拠として15%増の改善を要望。
  • 経費分5%の改善を実現し黒字化。
  • 取引先へ定期的な価格交渉の場を要望。

成果概要

  • 経費分5%の改善を実現し黒字化。
  • 定期的な価格交渉の場も確保。

副次効果

原価管理体制の構築・資金流出の抑制

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

組立加工業で、複数のコスト上昇と過去の赤字が重なり、価格転嫁の要望をどう設定すべきか迷っている経営者に読んでほしい事例です。15%という要望に対して5%の改善に着地したが、それで黒字化を実現したという現実的な成功事例です。

「15%の要望→5%の実現」という結果は、最初の要望が高すぎたように見えるかもしれません。しかし交渉学の観点では、高めのアンカー(最初の提示)を設定することで、相手の「落としどころ」の認識を変えることができます。5%を要望して5%を得るより、15%を要望して5%を得る方が、相手も「大幅に譲った」という満足感を持ちます。最初の提示は、交渉の出発点として設計するものです。

「債務超過状態」という厳しい状況を正直に相手に示したことも、交渉の一部として機能した可能性があります。「うちが倒れたら、御社も困る」という文脈は、取引先にとって供給リスクとして認識されます。財務的な危機状態を隠すのではなく、「事業継続のために必要な改善」として正直に伝えることが、相手の理解を引き出すことがあります。

「取引先へ定期的な価格交渉の場を要望した」という成果も重要です。一度の改定で終わらず、「半年ごとに見直す仕組み」を制度化することが、継続的な適正価格維持につながります。価格の一回改定より、改定の仕組みを合意することの方が長期的価値が大きいです。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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