強固な価格交渉方針を設定・共有し、交渉に強い企業体質を構築
O社(総合金網・パンチングメタルの製造販売(兵庫県神戸市・従業員70名・創業1895年))
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費・エネルギー・光熱費・人件費・労務費
交渉手法
付加価値型・データ提示型・関係構築型
活用ツール・支援機関
近畿経済産業局
定量的な成果
平均2割UP、達成率8割強
当時の課題
- 材料費・エネルギー費の高騰に加え、人材確保のための給料アップも必要。
取組概要
- 営業部門内で基本方針(賃上げ)や値上げ幅の根拠を情報共有し、営業担当に価格の決定権を付与。
- 利益重視で顧客数を増やし大手依存を脱却。
- 独自技術「スーパーパンチング™」(板厚より小孔径加工)で代替困難な付加価値を提供。
- 採用活動で組織安定化も図る。
成果概要
- 平均2割アップ以上の価格交渉達成率は8割強。
- 政府方針にも助けられ大手企業にも受け入れられやすい状況。
副次効果
顧客数拡大・大手依存脱却・組織安定化
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
金網・パンチングメタル製造業で、材料費・エネルギー費・人件費という三重のコスト上昇に直面しながら、組織全体での価格転嫁体制を構築しようとしている経営者に読んでほしい事例です。「スーパーパンチング™」という独自技術を核に、平均2割アップ・達成率8割強という成果を実現しました。
「営業部門内で基本方針と値上げ幅の根拠を情報共有し、営業担当に価格の決定権を付与した」という仕組みの設計が、この事例の最も重要な示唆です。価格の決定権を現場担当者に委譲することで、交渉の場でリアルタイムに判断できます。本部承認が必要な場合、取引先との交渉テンポが遅くなり、機会を逃すことがあります。適切な権限委譲が、交渉の機動力を高めます。
「板厚より小孔径加工」というスーパーパンチング™は、他社が技術的に困難な加工を可能にする独自技術です。このような技術を持つ場合、「この技術を維持するためのコスト」という視点で価格交渉に臨めます。取引先も「この技術が使えなくなると困る」という認識があれば、価格改定への協力度が高まります。
「利益重視で顧客数を増やし大手依存を脱却した」という方針転換も重要です。売上最大化から利益最大化への転換は、価格交渉力を根本的に変えます。大手一社への依存から多取引先構造への移行が、個々の交渉での心理的余裕を生みます。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →