500品目の個別原価計算で精緻な価格転嫁を実現
K社(機械部品の製造(兵庫県・従業員28名))
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費・エネルギー・光熱費
交渉手法
データ提示型
活用ツール・支援機関
近畿経済産業局
定量的な成果
500品目個別原価計算
当時の課題
- 多品種少量生産で品目ごとの原価把握が困難。
- 一律の値上げでは取引先の理解を得にくい。
取組概要
- 500品目それぞれの個別原価計算を実施し、品目ごとの適正価格を算出。
- 取引先に対して品目別の価格改定根拠を提示。
成果概要
- 500品目の個別原価に基づく精緻な価格転嫁を実現。
副次効果
品目別の原価管理体制の確立
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
機械部品製造業など多品種少量生産の製造業で、500品目以上の製品を抱え一律値上げでは取引先の理解が得られないと悩んでいる経営者に、特に読んでほしい事例です。500品目全てを個別原価計算した徹底ぶりが、精緻な価格転嫁を実現しました。
500品目という数は、「一律値上げ」という単純な方法では対処できない複雑さを意味します。品目ごとに原材料・加工工程・労働時間が異なる以上、一律10%という方法では過不足が生じます。この問題を正面から解決するために、500品目それぞれの原価を算出した——この労力への覚悟が、取引先の「この数字は本物だ」という信頼を生みます。
品目別の価格改定根拠を提示することは、取引先の担当者にとっても「なぜこの品目はこの値上げ幅なのか」という疑問に答えられる根拠資料になります。取引先は社内稟議で上司に説明する必要があります。品目別の根拠資料があれば、その説明が容易になります。取引先担当者が「使える資料」を提供することが、交渉を前に進めます。
500品目の原価計算という作業は、一度やり遂げれば今後の価格管理の基盤にもなります。次回の価格改定が必要な際には、前回の計算を更新するだけで対応できます。最初の労力は大きいですが、この投資は長期的に価格管理の精度と効率を高めます。大変な作業ほど、完成後の競争優位につながります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →