【労務費】最低賃金14%上昇分をマンチャージに反映し、355品番で年間+120百万円の転嫁を実現
非公開(樹脂成形部品加工業)
この事例のポイント
コスト上昇要因
人件費・労務費
交渉手法
データ提示型・制度活用型
活用ツール・支援機関
JAPIA(日本自動車部品工業会)
定量的な成果
マンチャージ14%UP、355品番改定、年間+120百万円
当時の課題
- 仕入先の所在地域の最低賃金が770円→877円(14%上昇)。
- 労務費総額855,000千円の転嫁が必要。
取組概要
- 仕入先の所在地域の最低賃金上昇率14%(770円→877円、2016年→2021年)を適用。
- 労務費総額855,000千円×14%=120,000千円を転嫁対象に。
- 売上比率100%のため全額を当社負担。
- 製品のマンチャージを一律14%増額し、355品番すべての加工費単価を改定。
成果概要
- 355品番のマンチャージ一律14%増額で年間+120百万円の転嫁を実現。
副次効果
大量品番の一括転嫁スキームの確立
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
樹脂成形部品加工業で、最低賃金の大幅な上昇(14%)に対応して多品番のマンチャージ改定が必要だが、どう計算すべきか悩んでいる発注側企業の経営者に読んでほしい事例です。最低賃金上昇率を直接マンチャージに適用し、355品番全てを一括改定した実践的な手法が参考になります。
最低賃金の上昇率(14%: 770円→877円)を労務費総額に直接掛けるという計算は、シンプルかつ説明しやすい手法です。「最低賃金がこれだけ上がったから、労務費もこれだけ上がった」という直感的な説明が可能で、取引先の担当者が社内で稟議を通す際にも理解を得やすいです。計算のシンプルさが、合意のハードルを下げます。
2016年から2021年という5年間の変動を遡及して一括対応した点も注目です。継続的な最低賃金上昇を都度転嫁してこなかった場合、蓄積された未転嫁分が大きくなります。355品番・年間120百万円という規模の転嫁は、こうした蓄積の解消でもあります。定期的な見直しを怠ると、後の転嫁額が大きくなるという教訓を、この事例は示しています。
売上比率100%という状況は、この仕入先への発注が特定の事業に集中していることを意味します。このような場合、仕入先の経営安定が直接自社の生産安定につながります。適正な転嫁を行うことは、サプライチェーンの健全性を守る行為でもあります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →