製造業・繊維 データ提示型 No.107
【労務費】年齢層別人員数と公表賃金データから分あたり労務費レートを算出し加工費に反映
非公開(繊維業)
この事例のポイント
コスト上昇要因
人件費・労務費
交渉手法
データ提示型
活用ツール・支援機関
JAPIA(日本自動車部品工業会)
定量的な成果
労務費レート26.9円→31.9円/分(+5.0円/分)
労務費/年齢層別/賃金構造基本統計/分あたりレート
当時の課題
- 仕入先の年齢層別人員数は入手できたが、実際の賃金データは開示されなかった。
- 公表指標から労務費レートを推計する必要があった。
取組概要
- 厚生労働省の県別・年齢別平均賃金と賞与データ(令和4年賃金構造基本統計調査)を使用。
- 仕入先の年齢層別人数160名を当てはめ、月例賃金分26.38円/分+賞与分5.53円/分=31.9円/分の労務費レートを算出。
- 旧レート26.9円/分との差額5.0円/分を加工費単価に反映。
成果概要
- 公表統計から分あたり労務費レートを推計し加工費転嫁を実現。
副次効果
年齢層別の精緻な労務費レート算出手法の確立
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
繊維製造業など、仕入先の年齢層別人員数は入手できるが実際の賃金データの開示を断られた経営者に読んでほしい事例です。厚生労働省の公表賃金統計を活用して分単位の労務費レートを推計した手法が、情報入手が困難な状況での実践的な解決策を示しています。
「実際の賃金データは開示されなかった」という現実は珍しくありません。しかし年齢層別人員数という「部分的なデータ」と、厚生労働省の賃金構造基本統計調査という公表統計を組み合わせれば、分単位の労務費レートという実務的な計算基礎を推計できます。入手できるデータと公表データを組み合わせる創造性が、情報制約下での算定精度を高めます。
「月例賃金分26.38円/分+賞与分5.53円/分=31.9円/分」という計算は、加工費の見積もりにおける「マンチャージ」の考え方と直結しています。分単位での労務費コストを把握することで、製品の工数×レートという見積もりの基本式が成立します。この基礎計算を持つことが、適正な価格設定の出発点です。
旧レート26.9円/分と新レート31.9円/分の差額5.0円/分という具体的な数字で合意したことで、取引先も「何が変わったか」を明確に理解できます。変化の中身を数字で示すことが、抽象的な「値上げ」より受け入れられやすい転嫁を実現します。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →