【労務費】正社員と外国人実習生で異なる指標を適用し、売上比率30%で按分
非公開(プレス加工/溶接/組立業)
この事例のポイント
コスト上昇要因
人件費・労務費
交渉手法
データ提示型
活用ツール・支援機関
JAPIA(日本自動車部品工業会)
定量的な成果
正社員5.0%+実習生6.77%の二段階転嫁、1,532千円精算
当時の課題
- 正社員42名と外国人実習生26名で賃上げの根拠が異なり、それぞれ適切な指標を適用する必要があった。
取組概要
- 正社員は平均賃金改定率5.0%を、外国人実習生は最低賃金上昇率6.77%をそれぞれ適用。
- 労務費総額90,000千円に対し正社員分(62%×5.0%=2,790千円)+実習生分(38%×6.77%=2,315千円)=計5,105千円を算出。
- 仕入先の当社向け売上比率30%で按分し、1,532千円(3ヶ月分)を一時金精算。
成果概要
- 雇用形態別に適切な指標を適用した精緻な労務費転嫁を実現。
副次効果
外国人実習生を含む多様な雇用形態への対応モデル
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
製造業で、正社員と外国人技能実習生など、異なる雇用形態の従業員を抱えた仕入先の労務費をどう転嫁額に算定するか悩んでいる発注側企業の経営者に読んでほしい事例です。雇用形態別に異なる指標を適用した精緻な算定手法が参考になります。
正社員と外国人技能実習生では、適用される賃金水準の指標が異なります。正社員は平均賃金改定率(5.0%)、外国人技能実習生は最低賃金上昇率(6.77%)——この区別は、実態に即した公正な算定に不可欠です。一律の指標を使うことで生じる「実際より低い算定」または「不当に高い算定」を防ぎ、取引関係の公正さを保ちます。
労務費総額を「正社員62%分」と「実習生38%分」に分けて計算する手法は、仕入先の人員構成という実態データが入手できたからこそ可能なアプローチです。情報を入手する際の丁寧なコミュニケーションが、精度の高い算定を可能にします。仕入先との情報共有を促す関係性の構築が、ここでも重要な前提条件です。
30%という売上比率での按分も、この仕入先にとって相当の比率です。単一の大口発注先として30%を占めるということは、この取引先への依存度が高く、適正な関係を維持することの重要性も高いことを示しています。適正な転嫁を行うことが、仕入先との長期的な取引関係の維持につながります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →