製造業・プレス加工/溶接/組立 データ提示型 制度活用型 No.103

【労務費】賃上げ3.0%を公的指標3種で妥当性確認し、売上比率で按分

非公開(プレス加工/溶接/組立業)

この事例のポイント

コスト上昇要因

人件費・労務費

交渉手法

データ提示型・制度活用型

活用ツール・支援機関

JAPIA(日本自動車部品工業会)

定量的な成果

年間2,118千円の労務費転嫁を実現

労務費/公的指標3種/妥当性検証/月給+賞与

出典より

JAPIA 価格転嫁事例集(労務費) ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 仕入先から賃上げ3.0%(月額9,000円/人)の申告があり、その妥当性を客観的に検証する必要があった。

取組概要

  • 仕入先申告の賃上げ率3.0%を、自動車産業3.8%・全産業3.6%・都道府県別最低賃金4.5%の3指標と比較し妥当性を確認。
  • 月給(9,000円×511人×12ヶ月)+賞与(9,000円×511人×4ヶ月)=合計74,584千円/年を転嫁対象とし、売上比率2.84%で当社負担額2,118千円/年を算出。
  • 一時金として遡及精算。

成果概要

  • 3つの公的指標で妥当性を裏付けた上で転嫁額を合意。

副次効果

複数の公的指標による客観的な妥当性検証プロセスの確立

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

製造業で、仕入先から賃上げを申告された際にその妥当性をどう客観的に検証すべきか悩んでいる発注側企業の経営者に読んでほしい事例です。3つの公的指標との比較検証という手法が、申告内容の妥当性を確認しながら適正な転嫁額を合意する道筋を作りました。

「仕入先の申告を鵜呑みにしない」という姿勢と「客観的な検証を行うことで合理的な転嫁に合意する」という姿勢を両立させた点が、この事例の核心です。自動車産業3.8%・全産業3.6%・都道府県別最低賃金4.5%という3指標と仕入先の申告3.0%を比較し、「3.0%は下回る側で妥当」と確認することで、一方的な受け入れでも拒否でもない、合理的な判断が可能になります。

月給分と賞与分を分けて算出し、売上比率で按分するという計算プロセスの透明性も重要です。「どの数字を使って、どう計算したか」が明確であれば、仕入先側も「この算定は公正だ」と感じやすくなります。算定式の透明性が、双方の信頼関係を維持しながらの合意を可能にします。

年間2,118千円という具体的な転嫁金額は、双方にとって「予算に組み込める数字」です。曖昧な「値上げ」より、具体的な金額で合意することで、翌年度の予算計画への反映が容易になります。数字の具体性が、実務的な合意の実現を助けます。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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