製造業・食品 データ提示型 制度活用型 No.99

定期的な原価把握と改定見積の提出で機械的に価格転嫁を実施

A社(製造業(食品))

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費

交渉手法

データ提示型・制度活用型

活用ツール・支援機関

福島商工会議所

年次改定/月次原価確認/機械的転嫁/利益優先

出典より

福島県 価格転嫁の成功事例 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 原材料価格の上昇に対し、値上げにより販売数量は減少。
  • 少子高齢化・人口減少の時代背景も考慮が必要。

取組概要

  • 毎年10月に製造原価改定を実施。
  • 生産ごとに単品原価を算出し毎月異常がないか確認。
  • 毎月原材料の仕入れ価格見込(翌年分まで)を算出。
  • 原価上昇を考慮し年12月に翌年度(4月〜3月)の見積を提出する仕組みを確立。

成果概要

  • 販売数量が減少しても利益確保を優先する方針で安定経営を実現。

副次効果

月次の原価モニタリング体制の定着

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

食品製造業で、原材料価格の上昇と少子高齢化による市場縮小という二重の課題に直面している経営者に読んでほしい事例です。「毎年10月の製造原価改定・年12月の翌年度見積提出」という年間サイクルを確立した、価格管理の仕組み化事例です。

この事例の最も学ぶべき点は、価格転嫁を「都度の交渉イベント」ではなく「年間の業務プロセス」として制度化したことです。毎月の原価確認・毎年の価格改定サイクルが定まっていれば、コスト上昇が発生しても「いつ、どのように交渉するか」が既に決まっています。不確実性の高い交渉プロセスを、確実なルーティンに変換することで、経営の安定性が高まります。

「販売数量が減少しても利益確保を優先する」という方針の明確化も、重要な経営判断です。数量を維持するために価格を下げるという「量の罠」に陥ることなく、「利益を確保できる価格で販売する」という収益優先の姿勢が、少子高齢化という構造的な市場縮小に対処する正しい方向性です。

翌年分までの仕入れ価格見込みを毎月算出するという先読みの習慣も参考になります。コストが上がった「後」に値上げを検討するのではなく、コストが上がる「前」から見通しを立てて準備することで、交渉のタイミングを自分でコントロールできます。価格管理における先見性が、交渉の主導権を生みます。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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