製造業・紙器製造 データ提示型 No.92
事業承継を機に価格転嫁に本格着手
D社(紙器製造(大阪府・従業員7名))
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費
交渉手法
データ提示型
活用ツール・支援機関
近畿経済産業局
事業承継/価格体系見直し/小規模製造
当時の課題
- 先代から引き継いだ価格体系が長年据え置き。
- 事業承継後の経営安定化に価格転嫁が不可欠。
取組概要
- 事業承継を機に経営の見直しに着手。
- 製品ごとの原価を再計算し、取引先に対して価格改定の必要性を説明。
成果概要
- 事業承継を機に据え置き価格からの転嫁に成功。
副次効果
新経営者としての信頼構築
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
紙器製造業で、事業承継後に先代から引き継いだ低価格体系の見直しを検討している経営者に読んでほしい事例です。「事業承継という節目」を価格転嫁に本格着手するタイミングとして活用した判断が、この事例の最大の示唆です。
事業承継は価格改定の絶好のタイミングです。「新しい経営者になったから、価格体系を見直した」という文脈は、取引先に対して「前の体制を否定するのではなく、新体制として適正化を進める」というメッセージになります。先代の顔を立てながら、実質的な価格の適正化を進めることができます。この「節目効果」を意識的に活用することが、承継直後の最重要経営課題の一つです。
「製品ごとの原価を再計算した」という出発点も重要です。先代から引き継いだ価格体系は、いつ、どのような根拠で設定されたのか不明なことがあります。承継を機に原価計算をゼロから実施することで、「現在の適正価格はいくらか」を自分の判断として確認できます。先代の決定を引き継ぐのではなく、自社の経営判断として価格を設定するための作業です。
長年据え置かれた価格体系を変えることは勇気が必要ですが、この事例が示すように、適切な根拠と丁寧な説明があれば取引先も理解します。事業承継後の経営者が最初にすべき仕事の一つとして、価格体系の見直しは不可欠です。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →