製造業・金属・非鉄金属 データ提示型 関係構築型 No.3

新システム導入と段階的交渉で信頼関係を強化

S社(金属加工)

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費

交渉手法

データ提示型・関係構築型

活用ツール・支援機関

生産管理システム

段階的交渉信頼関係組織変革

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 原材料費の急激な上昇と、製品ごとの正確な原価計算の難しさが深刻な問題。
  • 昇給原資の乏しさから社員の生活を守ることが厳しい状況。

取組概要

  • 既存の生産管理システムを見直し、製品ごとの原材料費・加工時間・人件費などをより正確に算出できる新システムを導入。
  • データに基づきまずは上昇分の半分程度の価格改定を提案し段階的に交渉を進める戦略を選択。
  • 顧客の負担を考慮した提案でスムーズな合意形成を目指した。

成果概要

  • 取引先からは「誠実な企業」として評価され、信頼関係が今まで以上に深まった。
  • 経営陣は収益性の可視化を実現し、組織全体のスキルの底上げも図られた。

副次効果

信頼関係深化・組織スキル向上

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

製造業で原材料費が急騰しているのに製品ごとの正確な原価が把握できず、どの取引先にいくら上げるべきか判断できていない方に、読んでほしい事例です。

この事例の核心は、価格交渉の前に生産管理システム自体を見直したことです。製品ごとに原材料費・加工時間・人件費を正確に算出できる仕組みを作り、その数字を根拠として段階的な交渉に臨んだ。最初から全額転嫁を求めず、まず上昇分の半分を求めた判断も交渉を成立させた要因です。

「誠実な企業として評価された」という成果は、金額以上の資産です。取引先との信頼関係が深まったということは、次の交渉も成立しやすい状態を作ったことを意味します。一度の価格改定で終わらせず、継続的に適正価格を維持できる関係性の構築につながっています。

原価計算の精度は、価格交渉力に直結します。「なんとなく厳しい」ではなく「この製品はこのコストがかかっている」と言える状態が、交渉の出発点です。システム投資を交渉力への投資と捉える視点が、この事例から学べる最大の教訓です。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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