製造業・食品 付加価値型 事業転換型 No.13
価値の再定義と市場開拓で収益の安定化へ
H社(醤油・味噌製造)
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費
交渉手法
付加価値型・事業転換型
活用ツール・支援機関
長期経営戦略・新商品開発
定量的な成果
麦そば57%/粉末みそ694%改善
価値再定義成熟産業付加価値創出
当時の課題
- 輸入大豆が2.2倍、大麦が2.6倍に価格が高騰するなど、主原料の原価率が142%上昇。
- 麦味噌の消費量減少傾向も相まって価格の抜本的な見直しが求められた。
取組概要
- 社内の効率化から始め、製造部門主体で生産スケジュールの最適化を図った。
- 経営陣が長期経営戦略の策定に着手し、九州市場の特性分析と自社規模の経済性を詳細に検討。
- 従来の製品ラインを基盤とした新ジャンルへの商品展開を決定。
- 味噌については地域資源としての独自性を、粉末味噌については応用性と保存性の高さをアピール。
成果概要
- 麦そばは57%、粉末みそについては約7倍(694%)の大幅な価格改善を達成。
- 限界製造量を踏まえた利益額の改善にも成功し大規模な設備投資を回避しながら収益性を向上。
- OEMやプライベートブランド商品としての受注が増加。
副次効果
OEM受注増加・海外引合い
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
食品製造業で主原料の価格が2倍・3倍になり、従来の価格体系では事業継続が困難になっている方に、特に読んでほしい事例です。
この事例が示す発想の転換は、価格を上げるだけでなく「高く売れる商品に変える」という戦略の選択です。麦そばを57%、粉末みそを約7倍という大幅な価格改善を実現したのは、単なる値上げではなく商品の価値再定義があったからです。成熟した産業の中で、どこに差別化できる余地があるかを徹底的に分析しました。
大規模な設備投資を回避しながら利益を改善できたことは、「量から価値へ」の転換の効果です。生産量を増やすのではなく、一単位あたりの利益を高める戦略が、投資なしの収益改善を実現しています。
OEM受注増加・海外引合いという新たな展開は、商品価値の再定義が市場評価にも波及した結果です。価格を上げた商品が新たな顧客を呼ぶ。これは一見逆説的ですが、価値のある商品は適正価格でこそ評価されるという事実を示しています。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →