基礎知識 (更新: 2026年3月16日)

価格転嫁率とは?計算方法と自社の転嫁率の調べ方

この記事の著者

森岡 誠

価格転嫁の専門家・中小企業の価格戦略アドバイザー。「価格交渉は対立ではなく、取引先との共同課題解決」が信条。 プロフィール →

「うちの転嫁率は何%なのか」——この数字を把握していない経営者は少なくありません。

この記事では、価格転嫁率の正確な意味と計算方法を、具体的な数値例を交えて解説します。自社の現状を数字で把握することが、価格交渉の第一歩です。

この記事でわかること

  • 価格転嫁率の定義と計算式
  • 具体的な計算事例(製造業・運送業)
  • 業種別の平均転嫁率データ

価格転嫁率の定義と計算方法

価格転嫁率とは、コスト上昇分のうち、取引価格に反映できた割合です。

基本の計算式:

価格転嫁率(%)= 取引価格の上昇額 ÷ コスト上昇額 × 100

この数字が100%であれば「完全転嫁」、0%であれば「全く転嫁できていない」ことを意味します。

転嫁率状態経営への影響
100%完全転嫁コスト上昇を吸収できている
50〜99%部分転嫁一部は自社で負担
0〜49%低転嫁利益を大きく圧迫
0%未転嫁経営危機のリスク

具体的な計算事例

事例1: 製造業A社

  • 鋼材の仕入れ単価が年間で500万円上昇
  • 取引先との交渉で、製品単価を引き上げ、年間300万円の価格増を実現

転嫁率 = 300万円 ÷ 500万円 × 100 = 60%

残り200万円は自社で吸収しています。

事例2: 運送業B社

  • 燃料費が年間200万円上昇、人件費が年間300万円上昇(計500万円)
  • 運賃改定で年間150万円の価格増を実現

転嫁率 = 150万円 ÷ 500万円 × 100 = 30%

費目別に見ると、燃料費は比較的転嫁しやすい一方、人件費の転嫁が課題です。

業種別の平均転嫁率

中小企業庁のフォローアップ調査によると、業種別の転嫁率には大きな差があります。

業種平均転嫁率特徴
製造業約50%原材料費は転嫁しやすいが労務費が課題
建設業約55%公共工事は比較的転嫁しやすい
運送業約40%燃料費は交渉しやすいが人件費が困難
IT・SES約35%人件費中心のため転嫁が難しい構造
ビルメンテ約30%労務費率が高く転嫁率が最も低い

出典: 中小企業庁「価格交渉促進月間フォローアップ調査」(2025年)

自社の転嫁率が業界平均を下回っている場合は、交渉の余地がある可能性が高いです。

よくある質問(FAQ)

Q1: 費目ごとに転嫁率を計算すべきですか?

A1: はい。原材料費、エネルギーコスト、人件費など費目別に計算すると、どこが転嫁できていてどこが課題かが明確になります。交渉の優先順位をつけるためにも有効です。

Q2: 転嫁率のデータはどこで入手できますか?

A2: 中小企業庁の「価格交渉促進月間フォローアップ調査」で業種別のデータが公表されています。自社の立ち位置を確認する参考になります。

Q3: 転嫁率100%を目指すべきですか?

A3: 理想は100%ですが、取引関係を考慮して段階的に進めるのが現実的です。まずは主要費目で70〜80%を目標にし、交渉の実績を積み上げていくアプローチが有効です。

まとめ:今日からできるアクション

  1. 主要コストの上昇額を計算する: 直近1年の仕入れ単価・人件費の変動を整理
  2. 取引価格の変動額を確認する: 同期間で取引価格がいくら変わったかを確認
  3. 転嫁率を算出し、業界平均と比較する: 自社の立ち位置を把握

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